蒼のウィステリア

藤色雨とリシテアの台本や情報をまとめています。

【1人声劇台本】100万回の愛してるを超えている

100万回の愛してるを超えている~令嬢の場合~


シーン1

SE:衝突音
SE:救急車のサイレン

……ん んぅ……やだ 寝ていたわ

え……あ 涙が……

ありがとう ハンカチ

さすが私の世話役ね 必要なモノがよく分かってる

涙だと思ってたけど これは……

SE;妖精をイメージした効果音

きっと眠っている間に妖精のグリフィールが 目薬をさしてくれたのね

昨日真夜中まで本を読んでいたから……ソレを心配したのかな

もう 私はそんな子供じゃないのに

むー もう少しで誕生日だから 妖精達に私のオトナっぷりを証明しなきゃ

そうだ 今年の誕生日はどうなると思う? あなたとしては

真莉愛お嬢様の……ってそんな考え込まないの

私は豪華なモノより いつも通りでいいわ

お父様もお母様もいて……ケーキとごちそうがあるの

二人とも随分遠くに行ってるんだから 早く帰ってきて欲しいよね

確か 南の温かいところなんですって……

お土産もお土産話も はやくほしいし ききたいなぁ

SE:コンコンもしくはチャイム

ん どうしたの……誰か来たのね(声を少し強ばらせて)

私……誰とも会いたくない

悪いけど対応してきて 気分が悪いの

ああ……ごめんね グリフィール フィルセット

私の部屋でパジャマパーティをしましょう

大丈夫よ こわいものは……彼がなんとかしてくれるから……

間(五秒程度)

SE:カチャ(ドアを開ける)
SE:ピアノの演奏

おかえりなさい……ねえ 誰がいらっしゃったの?

……そう またあの藪医者ね

面会なんて結構よ 父の友人と言ってるけど

おかしなことばかり言って 私の言うことを夢を見てるんだというのだもの

私の見えてるモノはすべて本物でしょ

ねえ あなたはどう思うの

よかった……あなただけよ

私の味方はあなただけ……

どうか怖いモノから……私を守って……お願い

私は……もう嫌なモノを見たくないの

本当に……知りたくないの

ごめんね 皆……心配してくれるの?

大丈夫 私は大丈夫だから

またピアノ 聞かせてあげるね

SE:ピアノの音

シーン2

SE:足音

ねぇ 急にどうしたの? 別荘に行こうって

ああ……家の大掃除? また急な話ね

そうね……綺麗にすることはイイコト……

お父様とお母様の部屋は 私がきちんとしておいたから 誰にも触らせないでね

約束してよ

うん……よかった あなたなら分かってくれる

私のことを分かってくれるのはきっと……世界で……

あ……

SE:ぶつかる音
SE:救急車のサイレン

いえ ちょっとぼーとしただけ ごめんなさいね

とりあえず家に入ったらお茶会にしましょう

ここ ゴブリンの姿が見えるの

初めて見るから 一緒に楽しみたいのよ!

バーブ
<<そうだ……世界なんて 狂ってしまえば良い>>(沈むような口調で)

なーに お話を聞かせてくれるの

私 そこまで子供じゃないと思うけど

でもいいわ あなただから……いい

どんなお話を聞かせてくれるの?

SE:ページをめくる音

ふうん なるほどねぇ……

<<世話役の話は不思議な話だった 哀しいことがあった少女は 不幸が重なり 目も耳もきかなくなり 体すらも動けなくなった でもその子は幸せだったという 世話役はそれがどうしてなのかとまで聞いてきた>>

全然分からないわ 辛いと思ってしまうけど

あなたには分かるの?

わかるんだ すごいわね

その子はもう何も感じられなくなったから 幸せな頃の……思い出の世界に行ってしまったの?

なんだか ソレ……

SE:ノイズ(ガガッ……)

……ナンデモナイ(淡々と抑揚無く)

<<穏やかな生活 私に見えるお友達と語らう日々 いつも世話役の彼がいて……ずっとこんな日々が続けばいい>>

ねえねえ これも収穫するの! この大きな木の実!!

おいしいクッキーに変るのよね 楽しみ!

もうもう ゴブリン ひっぱらないでよー

焦らなくても大丈夫だから あはは

<<だけど……ソイツは 無遠慮にやってくる>>

シーン3

SE:ピンポン連打

やだな うるさい……誰か来たのかな

ここまで来るヤツなんて きっと碌でもないに決まってる

ねえ 追い返してきてお願いよ

ありがとう……一応誰か来ただけでも……

SE:ガチャ

誰! 無遠慮ね……どうやって中に……あ

啓介 そっか従兄弟だもんね鍵をもってても仕方ないか

そんな仰々しく挨拶しなくていいわ 私あなたに用はないの

ねえ 帰ってもらって

帰らないってどういうつもり……は? 私に説教? なんなのあなた

なによそれ……新聞記事……?

別に読み上げなくていいわよ! 帰って 帰ってよ!

早く啓介を追い出しなさい どうして動かないのあなた

私の味方じゃないの! ねえ!

あ……あ……

高速道路……巻き込み事故……足長俊太郎 涼子夫妻が死亡し……

SE:衝突音
SE:救急車のサイレン

はあ はあ……ウソだわ 侮辱よそんな記事

お父様とお母様は南の温かいところにちょっと出かけてるだけなの

私 私は……それを待って……

っ……誰がバカなの 啓介 従兄弟と言っても許されない言葉があるでしょ

あなたはいっつも意地悪 正しいことばかり言って……正しいこと……タダシイコト?

SE:キーン
回想

お母様もお父様もどうしてそのことを私に言わなかったの

今日のディナーは行きたくない

そんな気分になれないから!

SE:バタン(強くドアを閉める)

そうだ……私……私は 偶然……

お父様 お母様は……ううん そんなのウソだよ いつかは帰ってくるはず……

SE:救急車のサイレン

あ……ああぁ……(泣き崩れる)

SE:オルゴール

<<1年半前のことだ 父と母が亡くなったのは でも私の中ではそんな事実は なかった ないということに していた>>

SE:コンコン

……あなたなの

ホットミルク……飲みたくないよ……全然

何も飲みたくない 食べたくない……

お父様もお母様もいなくなっちゃった

あんなに遊んでいた 妖精達も ゴブリンですらも……

私はまた置いてかれたのかな

私だけ 置いていかないでよぉ

ああ……こんなに寂しい気持ちは……罰なのかな

知ってるの……知ってるんだよ

あの日 私が怒ったから……予約の時間に遅れそうになって……

お父様もお母様も普段使わない高速道路を使った

素直になって……一緒に出かけてれば

私が殺したようなものなのかも

イヤだ……そんなの……お父様 お母様どこなの! どこ!!

真莉愛をおいていかないで!!!

ねえ……ねえ……!

お願い お父様とお母様をつれてきて

あなただったら出来るでしょう

あなたは私の味方なんでしょう!

どうして……そんな 哀しい顔で……私を見るの……

お父様 お母様……どこ……ドコ……

シーン4

SE:カチャ(陶器の音)

優雅なモノね………紅茶を嗜む余裕があるのね

……私はあなたと話すことはない

帰って もう二度と顔を見せないで

……何よ

何なの……そんな怖い顔して

分かってないって何

私に嫌なモノを見せて……これ以上何をしようって言うの……!

帰って帰って! 私はお父様とお母様を待つの!

SE:足音(ドスドス)

何よ これ……

SE:チャリ(鎖の音)

ペンダント……警察から届けられたの? お父様 お母様の?

燃える車内で閉じ込められても 二人が 握りしめてた……

あ……私の写真……Dear Maria……

死にかけていても……コレを守ろうとしていたの?

私を愛し続けていたの……?

なによ いっぱしに私に説教なの……

知ってたわ……お父様とお母様は……誰よりも私を愛してる

知ってるから もういないなんて信じられないのよ……(※徐々かつ静かに感情高ぶらせてください↓)

空想に溺れていたいよ ずっと ずっと(※↓)

でも……ねぇ……このままじゃ……(※↓)

私がずっと目を背けてたら……(※↓)

二人はきっと 浮かばれないんだよね……(涙声)

SE:さざ波
SE:草の上を歩く

……綺麗な花ね……本当に

あなたの選んだモノだもの 綺麗に決まっている

お父様お母様も喜んでくれるかしら

喜んでくれるといいな

久しぶりに お墓に来るなんて 親不孝じゃない?

そっか……あなたは優しいね

……正直 夢で事故のことを思い出すの

実際に見ては無いけど 想像が頭にこびりついてるのよ

辛いなって思うけど……でも私はお父様とお母様に いっぱい愛されてた

きっと今だって愛されてる

ありがとう……お父様 お母様

あなたも見守ってくれて……ありがとう

どうかこれからも……一緒に いてね

約束

1人声劇台本「小さな恋 side 人間」

小さな恋 side 人間

シーン1

SE:床が軋む

え……床が軋む……まあ うん……気のせいです

細かいことを気にするなぁ百合ちゃんは

百合子さんですか……ああ そうですね わかりましたわかりました

へ ああ……よく覚えてるね まんじゅう買ってきたこと

そこまでキーキー おやつとコーヒーを供えろって言わないでくださいよ

まあ……百合子さんらしいけど はあ

SE:陶器の置く音

死んでからコーヒーの味にしみじみしてるんですか

不思議な幽霊さんだなぁ

バーブ
<<平屋建ての民家 倉つき 築はリノベーションはしているが相当らしい ボクはそんな家に暮らしているのだが この家には幽霊がいた 可愛いけど ちょっと子供っぽい そんな幽霊が>>

大学で勉強していて……その途中であえなくって感じですか

人生って なんでしょ……あっけないですね

ボクの大学時代は そんな仲間達と一緒にどうこうするって なかったですよ

独りでしたね 灰色みたいな時代でしたけど

え? 忙しそう 忙しいですね

お客さんが来るんですよ この後

そんな珍しがらないでください それに相手の情報 欲しがりますね

ははは……ボクと百合子さんは同居してるわけじゃないですよ

地縛霊として 百合子さんがここにいるってだけですからね

ほう 考えてるんですか……意外

<<ボクの世界は色彩がない 変らない日常 終わらない仕事 わりとそつなくこなせるから 困らないのは幸せだろうか けれど灰色の世界で 百合子さんは鮮やかな存在に見える>>

はあ 喉に小骨ですか 幽霊でも小骨ひっかかるんだ

ははは 冗談ですよ冗談

でしょでしょ ボクらしいじゃないですか

シーン2

SE:ピンポーン

ああ……時間通りだ はーい今行きますね

百合子さんそんなに聞きたいんですか相手のこと

教授です 近所の大学で教授をされてる方です

橋場って名前だったかな

あの……

どうしたんです 百合子さん

いや 顔が……急に

似ている? 何に?

似た名前の方を知っているんですか……なるほど

SE:足音
SE:ふすまを開ける音
SE:座る音
SE:風鈴の音

こちらでは初めまして 堂本と申します

倉の整理に困っていたモノで 橋場さんのご協力本当に感謝します

さっそくなんですが……(フェードアウト)

へえ……この家の元の管理者は 庄屋だったんですか

ここらの土地を管理してたんですね

橋場先生は さすがというか お詳しいですね……

色々とお話を聞きたいモノです

え……いいのですか? 倉にまつわる話でも

興味があります

いえ歴史好きというわけではないんですが……ただ……

住んでいる場所にまつわる話というのは面白いじゃないですか

わかります? この気持ち うれしいですね はは

ああと……話し込んでいたらこんな時間だ

家の話は明日にでも 何かつまみになるものでも用意しときますね

夜分遅くまで 倉の整理……ありがとうございます

遅く帰ってもいいのですか……はあ

とはいえ限度ってあるものですよ 長々とありがとうございます

お見送りしますね……

SE:虫の音
SE:風鈴

帰りましたよ 教授さん

倉の整理……結構な量だったなぁ

正直疲れたなって感じ

そうそう 家を買う条件に倉の引き取りがあったけど

まさか寄贈の価値があるもんだとは思わなかった

だけど……いい人だったな 話しやすかった

ノリか……確かに似てるかも

なんで百合子さん 橋場先生が聞き上手なの知ってるんですか

そう 知り合いなんですか……

あのさ

先生と何かあったの……

いや明らか様子おかしいし

ただなんか変だから 気になった……それだけです

生きてた頃の知り合いなんですか

ふうん……そうか

丸縁眼鏡すらつけてなかったなあ

百合子さんの記憶の中ではつけてたみたいですけど

そうですよ 年をとるもんです

イメチェンだってするでしょうね

(いぶかしげに)え 奥さん いるんですか?

学生結婚とかはやいですね はや……

百合子さん丸縁眼鏡の執着が強いですね……

先生イコール丸縁眼鏡って感じですよ

指輪……確かに……

へえ 百合子さんが生きてたときはつけてたんですか

奥さんも指輪をつけて仲良しですね

時間は変えますよね……いろんなコトを

いきなり酒ですか 供えろっていわれても

飲みの誘いされてもダメです ボク、今日酔える状況じゃ無いんで

明日橋場先生と少し飲むんですよ 倉の資料について教えてくれるそうです

いつのまに仲良くなったと言われても……

先生のことというか 人のことを 人たらしって言わない方が良いですよ

わあ……駄々こね始めた

百合子さんってば……はあ……

<<百合子さんは橋場さんに……ボクには言えない感情を持っている それだけはとても伝わる……久しぶりにあった男なのに……毎日顔を合わせてるボクより 気になってしょうがないんだろうか>>

<<ボクはあなたが……あなたが……>>

SE:足音

あー くそ……つまんないな

何してんだろ自分……百合子さんともうちょっとこう……こう……

どうしたら いいんだか……正直 わかんねぇよ

シーン3

SE がやがやした飲食店

こんなところに来るの初めてですね百合子さん

そうやってニコニコして あなたはどんなところでも変らないんだから

……ボク ですか?

……ボクは 変りましたよ結構

本当ですよ……そんな表に出しませんけど

当たり前じゃないですか 結構それなりに年です

実年齢だとしたら違うけど すくなくと百合子さんの見た目より上だ

SE:喫茶店のガヤガヤ

はあ……

ため息つきたくなりますよ

すごい物件にきたもんですよ

床は軋むし 幽霊はいるし 幽霊はボクの気持ちに気づかないし

こんな家 越してこなければよかった……

でもそうじゃなきゃ……あなたと逢えなかった

いっしょにいて……デートしてくれてありがとう……

でも分かってるんだ

夢なんだって

SE:店のガヤガヤ(停止)(フェードアウト無し)

SE:小さなカラコロ

世界の彩りをおしえてくれたのはあなただった

例え見ている方向が別でも……

ボクは あなたを見ている

SE:足音

おはよう 百合子さん

ってなんですか むぅ……って 何の鳴き声ですか

はあ……幽霊でも鳴きたいことが……はじめて知りました

ボクもなんだか鳴きたいくらいですね なんだか

そうですよ……秋 虫も鳴いてるじゃないですか

蝉はもうとっくにいませんよ もう秋ですから

何ですかその顔……なんかあったんですか?

夏の夢ですか……

ボクもそういえば今日 夢を見ましたね……

シーン4

SE:鈴虫

<<鼻歌を彼女は歌っている 愉快で楽しげな……でも知っているんだ その歌声の内側は……>>

ああ はい……橋場先生は帰りましたよ

そうだ これをどうぞ……お供えのビールです

もちろん ボクも飲みますよ

まあ 飲んでましたけど……あれくらいじゃ酔いませんね

なんで酒豪とか喧嘩を売ってるとか……そんな言い方 困るんですけど

ビール飲んでないのに 冗談が わるい酔っ払いみたいですよ

はい 乾杯

SE:缶をあわせる

鼻歌 歌ってましたね 機嫌良いんですか?

……知ってます 百合子さんって素直じゃないから

こういうとき 鼻歌歌うんですよね

SE:鈴虫

静香って……

ああ 橋場先生の奥さん

そうですね 亡くなっていたんですね

……離婚とか不仲とかじゃ無くて 亡くなっていたらそうなりますよね

30年は 少なくとも経っているんでしたっけ

百合子さん 寂しいんですか?

うん……うん……

<<彼女の嘆きは 心に刺さる……虚しい……死んでから 他の皆と違って 何も変わらず時間が過ぎる……その哀しみをボクは聞いていた>>

……ボクが全部 受け止めますよ百合子さん

……あなたの哀しみだってなんだって……

SE:風鈴

……かっこいい ですか

茶化さないでください

愚痴が長いとか平気ですよ

一緒にいるんです 分からないわけじゃないでしょう

アナタの愚痴だったら 酒のつまみくらいになります

……イイ男だからダメなんですね なんだか はは……

大丈夫ですか? 百合子さん 泣きそうですよ

……ボクにいい人が現われるんですかね

そういうこと言う 百合子さん 嫌いだな

変な顔してます? ですよね……

ええ バカなんです……本当 バカって思います……

シーン5

<<延々と続く道路を歩くような人生で 一番伝えたかったことがあるとしたら それは彼女に告白をすることだ けれどその思いは伝わることもない 徒花みたいな恋 生死の境があるし 言ってもどうにもならないだろと分かっている ……ボクはきっと彼女に ボクの気持ちを伝えない 意気地が無いというよりは 彼女にはただ 何も知らず 幸せであってもらいたいのだ>>

SE:足音

こらこら人のことをノロいとか言わないで 百合子さん

そうですね 今日はもう最後の締め作業ってだけで 百合子さんの言うとおりです

……倉の整理が終わればってだけの関係ですから

はあ……恋は死んでも終わらないんですね 勉強になるな

まあ でも そうなるのかなって思いますよ

恋の消えない感じ……ちょっと分かります

もしかして告白するんですか

すごいな なんかすごいなぁ……

大事な言葉を生きてるウチに……チクッとささりますよ

はは……深い意味はありません

ほら 言ってきてください! 百合子さん

先生 行っちゃいますよ

<<背中を向けて歩き出す橋場先生に告白する百合子さん……それを眺めながらボクは呟く>>

ボク 百合子さんに会えて良かったですよ

生きてて良かった

本当に ありがとう……

<<もし神様がいるとしたら ボクはこう言うだろう>>

<<世界ってこんな色鮮やかなんですね>>

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・台本の一部を抜粋しての台詞読み

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・公演詳細をTwitterのDMによりご連絡お願い致します。

・使用料を一律金額で頂いてます。
・有料/無料公演でも可能

【男性向け】癒やしのアイシアさんの診察【シチュエーションボイス】

アイシア……森の賢女とよばれるほどの薬師 魔法薬のお店ミスティの主でもある。
ニコニコ、はきはき、たまに甘い吐息、そんなセンシティブなサービスも行っている

シーン1

SE:カウベル
SE:足音

いらっしゃい、魔法薬のお店、ミスティへようこそ

こんな時間からお客さんがくるなんて嬉しいわ

私のお店、魔法薬なんてものを扱ってるから……真夜中のお客様が多いのよ

ずいぶん、早くから来てくれたのね……

だけど、あら……目の下にクマが……

寝不足? いえ……これは寝てないが正解かしら

いけないわ、すぐに そこにすわって

まずは問診……お薬を出す前に あなたの状況を確認しないと

大丈夫よ………うちに来たんだから、ゆっくりしていって

うんうん、苦しいのは顔を見るだけで伝わる

でも、まずは心を落ち着けて

(右)焦っても……良い結果は出ないわよ(吐息。優しく)

シーン2 ひそひそ問診

まずは自己紹介をしましょう、私はアイシア……シアともよばれているわ、お気軽に名前を呼んでちょうだい

このミスティでお薬を販売しているの、魔法薬というちょっと変ったお薬をね

さて……簡単に自己紹介をしたところであなたのお名前は?

……なるほど、よびやすくて……良い名前ね

年も……ふむふむ……ありがとう

早速なんだけど、症状を教えてくれるかな

顔色の悪さも気になるから、ちょっと顔にちかづくね

SE:椅子を座り直す

どうしたの……そんな顔をして

ああ、となりに座っているから?

近い方が観察出来るし、あなたの人となりをちゃんと見たいから

何もおかしなことではないはずよ

はい……では問診はじめますよ……

(左に寄せる)はい……ではまず症状は……

眠れない……寝ようとしても、体にほてりを感じる……

そうね……横になっているから休息はとれなくはないでしょうけど

それでも頭の疲労は何一つとれてないって感じでしょうねぇ

頭がぼんやりして大変でしょう……あちこちぶつかってない?

ふふ、森の賢女ですからね なんでもお見通し……

(真ん中)なーんて冗談ですよ

(左に寄せる)さっきちらっと 二の腕が見えたんです。痣があったんですよ……だいぶ薄まってましたけどね

やっぱり気づいてなかった 意外とねびっくりしますよね……つけた覚えのない青あざなんて

後で軟膏をぬってあげますね

症状はいつからなんでしょうか

ふむ、一ヶ月前から……よくここまで堪えましたね つらくないといったらうそでしょうに

かっこわるいところを見せたくなかった

……それでこのお店に駆け込む沙汰になっているのだとしたら、何というか……という感じですね

少し失礼……魔法を一つ

SE:鈴の音

(声真ん中)

(低域・高域)心を深きところ浅きところ すべてをなぞれよ 78枚……彼のモノの心を指せ

ソードの8ですか……あなた、こうするべきとかああしなきゃとか……そう思い込みがちなのですね

心の拘束……を意味したりするんですね……このカード

顔色……さらに悪くなっていますね どうしてかしら?

ふぅ……なるほど

責任を背負いがちで……頭がパンク寸前だったんですね

でも心を自分で縛ってしまっているから……心は悲鳴をあげられず……

体が苦しいって叫んでるんですよ

その症状 厄介だったかも知れないけど……体の悲鳴 そう考えると いろいろと納得できませんか?

……ハッとしていますね きっと頭は良いんでしょう 気配りだってしてしまうんでしょう

でもこの世で一番肝心なことがあるとしたら まずは……自分を見ることなのですよ

自分があって はじめて 他人が見られる そんなものじゃないかしら

ゆっくり 私の言葉 かみ砕いてください

時間はまだまだ……ありますから ね

お薬……ご用意いたします

少々お待ちを

SE:足音(フェードアウト)

シーン3 処方

お薬できあがりました 材料が幸いうちにあるものばかりで

すぐに出来て よかったです

お水に溶かしてきましたの どうぞお飲みになって

甘い味 ほろ苦い味 酸っぱい味……どんな味にも出来ますけど

どうされます?

かしこまりました……では甘めにしましょう

お薬 苦手と 逃げられてもいけませんから

ええ オトナでも薬の味が苦手って方 いらっしゃいますのよ

ささ、どうぞ ゆっくりと眠れるものです 

今飲んだらって……大丈夫ですよ このソファ ベッドのようにやわらかいでしょ

つまりはそういうことです

私 人が眠るところ 見慣れてますのよ

大丈夫 何も恥ずかしくないですわ ふふ

SE:ごくごく

(右より)今日出したお薬は 月女神の眠り

月の女神が永遠に愛しい人間といるために 眠りを与えた そんな伝説から生まれたものですわ

大丈夫 この程度の量では 寝ても数時間といったところです

ゆっくり してくださいな……

ここで気を張っても 何も意味は持たないのだから

何も怖がらなくていいのよ 気を遣わなくていい

そうだ……羊 かぞえましょうか

まあ そうですけれど……案外寝られてしまうかもしれませんよ

SE:時計の音

羊が一匹~十匹まで数えます

合間合間に言葉をはさむ(オノマトペ
コロコロ
ペラペラ
モチモチ
ふわふわ
にゃぁにゃぁ

声真ん中

ああ……お薬聞いたのですね

ゆっくり寝てらっしゃい

私はそうね あなたが起きた時 元気になれるように

シチューでも作ろうかしら、ふふ

SE:時計の音


【男性向け】癒やしのアイシアさんの診察【シチュエーションボイス】

【男性向け】夏名残の花火と耳かき【シチュエーションボイス】

彼女……主人公(聞き手)の学生の彼女、本来花火大会に一緒に行くつもりだったのだが、主人公の宿題の進行度が遅すぎて、勉強会で宿題を片付けることにした。つんつんしているところもあるが、一緒にいられればというところもある。

主人公(聞き手)……宿題をろくに片付けてなかった学生 だらだらしたいところが多く、彼女に神経たたき直されてる。

シーン① 夏の名残と宿題と

SE:足音(複数)
SE:花火の音(遠くから)

夏も終わりかけ……かぁ……早いね もう花火大会はじまってんじゃん

うんー、窓の外すごいよ いっぱい人が歩いてる……会場に向かってるのかなぁ

あーあ……あそこの人の流れに、私らも混ざってるはず、だったのになぁ

SE:窓を閉める
SE:足音
SE:すわる

(囁き)君・の・せ・いだよ

まあ、ここでも花火が小さく見られるけどね

まったく宿題をおわらせてなさすぎた困った君はどこかなぁ

ああ、ここだなぁ……

SE:カタッ

ちょっと驚かないでよ、鼻つまんだだけじゃん

ほら、その問題早く終わらせて

20分以上かかってるじゃん……どこがわからないの

ふんふん、登場人物の心情が分からない

国語苦手なんだね

こういう問題は、だいたい問題の傍線がついたところ、その前後に答えがあるんだよ

ノーヒントじゃないんだなぁ、国語は

ムズカシイとかいわないー

もうちょっと頑張れば一息つくから、がんばーろうーよー

ほらほら、ね

んん? どうしたのこっち見て

あー……うーん……誘われはしたよ、他の子にも

私人気者だから……って、そこはつっこまないの?(笑いながら)

もう、ちょっといじけてるの?

そっかー申し訳ないんだ

ばっか、いいんだよ、私がそうしたいんだから

SE:紙にシャーペンを走らせる音

そんなに、心にちくちくささるなら、夏休み終わる前に、かき氷おごってよ

ブルーハワイ食べたいな

でもかき氷、ちょっと食べるの遅いから、結構長く付き合ってもらうかもしれない

私と二人きりで出かけるのだ

すごい、罰でしょ……そうだよ、これは罰なの

けしてご褒美とかじゃないんだからね

ごめんいきなり変なテンションだ……

なんか君といると落ち着かないんだよね

彼氏というのは……不思議な存在だ……

(体を伸ばして)んー、さて、もう一踏ん張りしようか!

ほら、勉強会なんだから、真面目にやらないと……

SE:紙にシャーペンを走らせる音
SE:ページのめくる音

シーン2 右耳かき

おつかれー

SE:氷のはいったグラスに飲み物(もしくは水)

結構がんばったじゃん

ご褒美に麦茶でもどうぞ

SE:ゴクゴク

結構勢いよく飲んだね(笑い含み)

そんだけ疲れたんだねぇ、まあ宿題いっぱい残してた証拠と言えるけど……すごいよ、がんばった

えー、もっとご褒美がほしいの

んー、そうだなぁ……君だから、許してやろう

って、ひざ枕して、耳かき?!

癒やしがほしいって、結構ドストレートな癒やしね……

まあ、いいですよ……やってあげましょう

じゃあさ、外、人も歩かなくなったし……窓開けて花火を見ながら耳かきしようか

三秒の間

SE:風鈴

あ、風がふいてきてるのかな……風鈴が

SE:花火の打ち上げ

綺麗な赤の花火だね……はーい、忘れてませんよぉ耳かきでしょ

もう、風情とか感じたっていいじゃないの

……私を感じられればって……バカ……超何言ってんだか……

耳かき始めるよー

SE:耳かき

ひそひそ声で

「(耳に吐息をかける感じ)ふぅー

あぁ……ここか……固まってる……

正直、耳かきって人にしたこと……ないんだよね……

想像以上に、緊張する……

変に動いたら、怒る、から……

(吐息)ふう……うん……うん……」

ひそひそ声ストップ
SE:耳かき音継続
SE:花火の打ち上げ(かなり低めに音量)

子供の頃だったかな、耳かきするってお母さんが言うと

我先にって感じに、耳かきされようとしなかった?

あんま経験無いんだ、そっか

私の家だと姉妹でお母さんにたかっていたよ

かまってもらえるのが嬉しいし……なにより、お母さんのふとももってあったかくてやわかかくて……

あんな幸せな枕は、そうはないよねって感じ

そんでもって、耳かきで耳の内側を、こりこりと掃除されると

ついつい、意識が落ちる、すやぁ……って感じ

アレは禁断の快楽だったかもしれない、なんて、大げさだね

ちょっとやめてよぉ

私お母さんとかじゃないし

もう、冗談がきっつい

そう分かってるならよろしい

でも何度も言わなくてもいいです……

SE:耳かきストップ

(囁き)君は私の彼氏です

私が、告白した、彼氏です

それから……

あはは、顔真っ赤じゃん、なにが恥ずかしいのかな

君がしたことのおかえし、だよ

さて……右はOKかな

次は左耳ー、お掃除ししてあげる!

シーン3 左耳かき

SE:布ずれ
SE:花火・打ち上げ
SE:風鈴

ああ……花火、協賛の説明に入っちゃった

花火の打ち上げの音、聞こえなくなったでしょ

こうなると、協賛の説明が入ってるんだよね

一休み中ってことだねぇ……

SE:耳かき

ん……うん……

集中――……

花火で気をとられちゃうから……

せめて今のうちにってね

おもしろいね……

かりかりしてるとき……君が、気持ちよさそうにしてる……

私が気持ちよくしてあげるんだって思うと……

なんか誇らしいな……

(吐息)ふぅうう

汚れがとれてくよ

きれいきれい……ってね

SE:耳かき(やや低い音量、声を際立たせる)

え……急にどうしたの

花火大会にもし行けてたとしたら?

ええ、とくになにかってことはないけど……

どうしてたろうねぇ、うーん

まあ、イカ焼きは絶対でしょ

焼きトウモロコシも外せないし……

食べ物ばっかっていわないのー

お祭りの屋台は特別なんだから……

食べなきゃとか思うじゃない

まあ、大前提として……浴衣でいくつもりだから

そんなに食べられないんだよね……帯とか苦しいし

冷やしきゅうりをパリッと食べるのも好きなんだけどな

ほんとは……用意しようとしてたのちゃんと、浴衣……

白いのに、青の朝顔模様がはいったやつ……涼しそうでしょ

おばあちゃんのお古なんだけどね……結構似合ってると思うんだ

二人でさ……花火大会の会場まで行って……きっと良いところは人がいっぱいなんだよ……だからしょうがなく、会場の隅っこに行くの

ちょっと会場の外れだけどさ……いいんだよ

(囁き・左)君といられれば

SE:耳かき

まあ、全部君のせいだから

花火大会にいけなくて、ここで耳かきすることになったのは、君のせい

でも一緒にいられたことには変わりないから……おかげかもしれない

も、もう……かもしれないだからね! そこを勘違いしないでよ

さっき、梵天つかい忘れてた……こっちでちゃんとやってくね

ふさふさしてて、ふぁさぁって感じで

なんとも言えないよね……ちょっと人によってはくすぐったいかもだけど

SE:梵天

二人で、花火大会に行ってたら……下駄で行ってる気がするから……鼻緒、切れたりして

途方にくれてたかもね、ほんと

どうにかできるわけないじゃん、普段はかないんだから

でも全部が思い出になりそう……かなわなかったけど

来年もあるし、あーだこーだ言ってるけど、あっという間に来年はくるよ

SE:打ち上げ花火

あっ……また、打ち上がった

いいね……花火、小さいけど綺麗だ

SE:梵天のみ

はい、綺麗になりました……耳かきミッションコンプリート

上手に出来ました?

(吐息)ふぅうう

これ、忘れてた(笑い)

シーン4 おわり

SE:風鈴
SE:ざわざわ、もしくは足音

ああー帰る人が出てきたんだねぇ

まだもうちょっとあるのに、早いなぁ……

ん、明日の夜? ひまったらひまだけど

浴衣を着て来いってどういうこと……

え……マジで

線香花火か、随分ささやかだけど……良い夏の思い出になりそう

ぱちぱち、ぽちゃんってなるよね……どっちの線香花火が最後まで持つのかな

えへへ、競争だね(笑い)

ああー明日楽しみ……絶対、約束だからねっ……


【男性向け】夏名残の花火と耳かき【シチュエーションボイスretake】

【男性向け】惑い狐と男【シチュエーションボイス】

女性……実は近隣の昔話になっている人を騙す狐。昔遊んだ人間を見かけ、からかってやろうかと思ったが、想像以上に疲れていたので癒やそうと思う。
淑やかだが、ウイットもあり、妖艶

シーン1 出会い

SE:草を踏む
SE:夏虫

ん? おや……こんなところに人がくるとは

めずらしいこともあるものです……ふふっ

そうですか……久しぶりにこのあたりへ来たのですね

ふらふらと散歩していたら……そうですね、そんなこともあるでしょう

ただ今は黄昏時、たそ、彼と聞くほど、夕日の逆光で人の顔が見えなくなるのですよ

そういうときは、アヤカシと出会ってしまうかもと言われていますの

ほとんど知らない土地で、ふらふらとここまで来るなんて……不用心だと思いませんか

いーえ、注意や説教という類いではございません

ただ……ふふ、言ってみたかっただけです

それにしても、随分と歩いてきたのですね

首に汗が……

SE:布で拭く

失礼……あまりに雨だれのような汗だったので……気になってしまいました

ふう……男の匂いですわね、汗でも女と違うものです

わたくしから、甘い香りがしますか……ああ、屋敷のお香が香っているのかもしれません

秋のはじまりを迎えているとはいえ……まだ暑さは消えませんね

SE:ひぐらし

ひぐらしの音が、わびしく聞こえるようになった気がしますが

まあ、そんなことより……汗をかいたままでは帰りも辛いでしょう

屋敷で、茶でもどうぞ……何、遠慮することはないですよ

汗がひくまでのわずかな休憩……ただ、それだけ

わたくしも、タイクツしてましたの

SE:草を踏む

シーン2 お茶

SE:木の床を歩く
SE:ふすまをあける

こちらへどうぞ

SE:畳を歩く
SE:座る

ちょうど夕餉の前に、お茶でもしようとおもってましたの

茶をたてるなど、そこまではいたしません

急須でお茶をいれる……ごくごく普通のものですわ

ただこのお茶……氷で冷やしたものになります

SE:お湯を入れる
SE:氷の当たる音

急須に茶葉をいれ、そして氷も入れる……それに沸かした湯をそそぐ

そうすると冷えても茶が薄まらず、味も良い、そんなお茶が出来るのです

どうぞ

SE:コトッもしくは陶器の移動する音

そんな、まじまじと見ても何も出てきませんよ(笑いを含みながら)

一口、飲んで下さいませ、体がすぅーと冷えていきます。

SE:ゴク(左耳に音量振り切る)

間(2秒くらい)

……素直でよろしい

好みの味になったようで、わたくしも嬉しいですね……

どこで覚えたかというとなかなか思い出せませんね……

ああ、子供からでした、男の子ですね……

自分の母親が作ってくれたお茶だったらしく……わたくしに教えてくれました

少し前の話ですよ……もうその子も随分と成長しているでしょうね

お兄さんほどになっているでしょうか、なんてね

SE:サッシをあける
SE:夏虫
SE:風

空気の入れ換えしましょうか……もう空が夜になりかけてますね……

こんな蒼とオレンジが入り交じる時間は一瞬です

ほう、この時間のことをそう言うのですか

マジックアワー、魔法の時間なのですね

そんなに良い写真がとれるのですか、魔法のような

すごいと思いますが……ふふ、今日初めて、お兄さんの生き生きした顔を見たような気がします

写真がお好きなのですね……素敵な目でしたよ

宝石のようにキラキラで……(ささやき)舐めたくなるくらいで……

冗談ですよ、びっくりされてますけど……すこしどきついもの、嫌いじゃないでしょう?

SE:風(そよそよ程度)

良い風が出ましたね、縁側に出てみましょうか

そうだ……お兄さん

わたくしの膝の具合を見ていただけないでしょうか

SE:夏虫(フェードアウト)

シーン3 ひざまくら(声の比率は右8:左2(右に偏らせる)

SE:夏虫
SE:うちわで扇ぐ

どうしました、そんな神妙な顔で……なにかおかしいことでもあったのですか?(笑いを含む)

ほう、想像とは違うと……いえいえ、わたくしからすると何もおかしいことはありません

わたくしの膝……ああ、正確に言っていませんでしたね、膝枕の具合を見て欲しかったのです

(ささやき)どうでしょう……固すぎませんか、柔らかすぎませんか、張りはあるでしょうか

(ささやき)ほどよく、あなたを受け入れているでしょうか?

どうしたのです? そんなに顔を隠すようにして……

そうですか……顔が近いと……

くすっ……恥ずかしいのですか?

わたくしを意識しているのですか?

ふふ……からかいはこれだけにしときましょう

からかっても、何が出るわけでなさそうですしね

SE:うちわ(音が強くなってからフェードアウト)
SE:夏虫

この辺りの伝承で、惑い狐というものがあるそうです

知っていらっしゃいます?

そうですか……まあ、ほとんどこの土地に来ていないなら……当然でしょう

惑い狐はその名の通り、悪戯が好きな狐でしてね……

心がふわふわしていたり、悩みで沈んでいたり、ようは隙のある人間ばかりをねらって

悪戯したり、馬鹿にしたりを繰り返す狐のことです。

まあ、人間らしい理屈で言うならば……心の隙をつくることは、悪いモノに騙される、よくないことになる

そういうことから生まれた存在でしょう

かつて……アヤカシとよばれたものが信じられていた頃に、惑い狐が出たそうですよ。

お兄さんも騙されてはいけませんよ……こんな黄昏時ほど、アヤカシが動き回れる時間はないんですから

……あら、そうなのですか……

騙されてしまう、筆頭なんですか……

そう、なのですね……住んでいる所で、働いている会社で……

そんな唇を噛みしめてはいけませんよ、傷ついてしまいますよ……

……気づいてなかったのですか、そう、変らないのね

唇を噛む癖……

いいえ、何でもありませんわ

昔見た坊やと、同じ癖だったなと……記憶が混ざってしまったみたい

ここには休みに来たのですね……

いいところですよ……けして悪い土地じゃない

だからゆっくりとしていくといい……

ここの風も大地も人も……

そしてアヤカシでさえも……

あなたをイジメはしないのだから……

SE:うちわ

ふんふーん、ふふーん、ふーんふーん(鼻歌)

ふふ……寝てしまいましたか……

早いモノです、夏が過ぎてはいるのに、体にほてりは残り続ける

この姿が、少し苦しいですね……

SE:鈴の音

ふう、楽になった……

それにしても……あの童がずいぶんと大きくなって……

そのくせ、腑抜けた顔でやってきたとは

わたくしの一瞬は、童を大人にするには十分ね……

まったく、久しぶりだから遊んでやろうか、弄ってやろうかと思ったのに

あんな顔をされてしまったら、気が抜けてしまった

惑い狐から惑いを奪うなんて……これほどおかしなことはないでしょ

けれどまあ、久しぶりの人との時間

ゆるりと楽しみましょう……ふふ

 


【男性向け】あやかしと戯れる黄昏時【シチュエーションボイス】

【女性向け】神様に優しく癒やされて、連れて行ってもらうシチュエーションボイス

「神社を舞台に」夏の日、神様とあなたと神隠し「シチュエーションボイス」

神様:落ち着きと明るさを兼ね備えた神様。元々人好きだが、何年も神社は放置されたために、人と接触する機会が少なくなった。女性(聞き手)の幼い頃にあっており、その孤独感に共鳴していた。

女性:人間関係が昔から上手くいかず、孤独感に悩まされており、自分の祖父母のいる田舎へ遊びに来た。散歩途中で、神社の存在に気がつき、賽銭を投げる


SE:田圃のあぜ道
SE:足音
SE:賽銭を投げる音

ほお、こんな朽ちた神社に、賽銭をなげるとは、希少な者もいるのだな

ん? 私の声が聞こえるとは……んん、そなたの姿どこかで見たような……

ああ! あの時の童(わらべ)か! 大きくなったものだ

ははははは、まったくなにもわからないって顔だな

そなたはもう随分と昔に……私と会っているのだよ

SE:風が流れる
SE:蝉
(8秒)

まったく、やっと落ち着いたか……まあ、それでもちゃんと思い出せたのはよかった

神様と呼ばれるのは、いつぶりかと思うが……

そうだ、この神社はもう廃棄されてしばらく経つのだよ

かつてそなたと会えた時点で、私の神社は人に忘れかけられていたからな

寂しいか……その感情は一番先に麻痺してしまったよ

ふふ、そんな顔をするな

少し話をしないか、そなたの話を聞きたいんだ……

ん?

SE:今にも雨が降りそうな雷
SE:雨

いけない、濡れてしまうぞ こっちへ

SE:足音(泥)

ああ、濡れてしまって……そんなしょんぼりするな

こんな私でも力はあってな……そら

SE:神楽鈴

これで服も体も大丈夫だろう

嬉しそうにして……本当に素直な性格だ

SE:雨(低めで継続してます)
SE:軋む音(座る音)

夏のここらは、唐突に雨が降る

廃屋の神社といえど、雨宿りくらいは出来るだろう

……しかし、成長したな本当に

あの頃はまだ小さくて……

はは、そなたの祖父と同じことをいってるか

私はそなたの祖父よりは、年は重ねているから……こんなことを言ってもおかしくはないだろうに

姿が、というのはずるいだろう……私を人間と一緒にするな

いつのまに、そなただって……

目元にしわをよせるな……もったいないぞ本当に

成長することはいいことだ……時間の経過は人間の特権だ

私の中には時間というものが、ない

いつのまにか存在して、永遠に終われない

だから有限を生きる人がうらやましくもある

人間をうらやましがる神は変か?

まあ、なかなか理解がむずかしいかもしれない

いわゆる、隣の芝生は青いってだけかもだが

SE:雨

……少し雨の空気に冷えたか

茶でもいれよう

SE:かちゃかちゃ(陶器のぶつかる音)
SE:急須(開閉)
SE:湯を注ぐ

そなたにとって大昔の、黄泉の国の話だが……

黄泉の国の食べ物を食べると、黄泉の世界の住人になって

もう二度と、そこから抜け出せなくなるという

また他のところでは、神の国に入るための酒があり

人間がそれを飲むと……神となって、人間の世界から離れるという

神の領域に触れると、往々にして、そんなことがある

はは、怖がるでない、この茶はただの茶だ

夏なのに……こんなに冷えては、あまりにかわいそうだからな

さあ、一息ついてくれ

(お茶を飲んで)ん……んん……ふむ……まあ、悪くないな

そなた、ここでいきなり自画自賛をしたら、なんとも奇妙でしょうがないだろう

苦笑いしかでなくなる

そなたの世界のなんというか、冗談はむずかしい……

そうだな、真面目かもしれない

故に、見離せない人間も、出てくる

普通の神ならば、歯牙にもかけないかもしれないのにな

そなたもそうだった……私の中で何人かおる、見離せない人間

まあ私のことを見えているのは驚きだが、そのことはあまり含めてないのだ

魂が、七色なのだ……そなたは 

七色の魂を持つ人間は、そうだな……とても儚い人生を送りがちでな

以前のそれを持っていた者は、幼くして……ということもある

だから私はそなたを見かける度に、どうか……と安寧を願っていた

気になる者が不幸になってはかなわんだろ

そういえば……こんな雨の日だったな、そなたと出会ったのは……

SE:雨(勢いを強める)
(時間軸的に聞き手の幼い頃になってます)
BGM:回想をイメージしたピアノ基調のもの

どうした……こんなところで、迷子になったのか

私の、姿が見えるのか……私はこの神社に祀られているものだよ

そうだな、わかりやすくいうならば……神と呼ばれている

雨が早くあがれば……親元に帰れるだろう

どうした……そうか……あまり帰りたくないのか

事情があることは、顔を見ればわかるよ

SE:頭を撫でる

茶でもいれてやろう、久しぶりに供えられた菓子もある……

雨が上がるまで、私はずっといっしょにいよう

BGMストップ
SE:雨

もう何年も前の話……と思っているのだろう

私にはほんの一瞬前の記憶のように感じる

あんなに泣きそうだったそなたのことを、忘れるわけがなかろう

また会えてうれしい

SE:頭をなでる

あの頃と……随分とちがってしまっているが……魂の輝きは、何一つ変わってない

そなたは本当に美しい

ほめているのに、そんな苦しそうな顔をして

辛いことでも言ってしまったのか私は

そうか……雨があがればまた……ふむ……そうだな

人と神が関わり合うことは、いつだって歪みや悲劇を生むと言われる

そなたの孤独は、あれからずっと癒えないのか……

SE:布ずれ

そうだな……何もない人生があるわけじゃないな

そなたは孤独が多すぎたのかもしれん

SE:雨(最低音量)

(囁き(右)ほんとうにそなたは、私といたいのか

(囁き(右)本当に、それでいいのか?

……そうか

いや、とめはしない……孤独を埋めたくなる気持ちは……私もわかるからだ

でなければ、一番真っ先に……孤独感を麻痺させないだろう?

SE:雨(フェードアウト)
SE:蝉の声
SE:布ずれ

これを飲むといい……

人には戻れないが……私と一緒にはいられるだろう

こんなものを差し出して、無責任な話だが

私はそなたと一緒にいられて……嬉しいのだ

眠くなってきたか……そうだ、副作用といえばいいのか

ゆっくりやすみなさい……大丈夫だ、目覚めたとき

(囁き(右)私はお前の側にいる……


【女性向け】神様に優しくしてもらう11分【シチュエーションボイス】