蒼のウィステリア

藤色雨とリシテアの台本や情報をまとめています。

【1人声劇台本】100万回の愛してるを超えている

100万回の愛してるを超えている~令嬢の場合~


シーン1

SE:衝突音
SE:救急車のサイレン

……ん んぅ……やだ 寝ていたわ

え……あ 涙が……

ありがとう ハンカチ

さすが私の世話役ね 必要なモノがよく分かってる

涙だと思ってたけど これは……

SE;妖精をイメージした効果音

きっと眠っている間に妖精のグリフィールが 目薬をさしてくれたのね

昨日真夜中まで本を読んでいたから……ソレを心配したのかな

もう 私はそんな子供じゃないのに

むー もう少しで誕生日だから 妖精達に私のオトナっぷりを証明しなきゃ

そうだ 今年の誕生日はどうなると思う? あなたとしては

真莉愛お嬢様の……ってそんな考え込まないの

私は豪華なモノより いつも通りでいいわ

お父様もお母様もいて……ケーキとごちそうがあるの

二人とも随分遠くに行ってるんだから 早く帰ってきて欲しいよね

確か 南の温かいところなんですって……

お土産もお土産話も はやくほしいし ききたいなぁ

SE:コンコンもしくはチャイム

ん どうしたの……誰か来たのね(声を少し強ばらせて)

私……誰とも会いたくない

悪いけど対応してきて 気分が悪いの

ああ……ごめんね グリフィール フィルセット

私の部屋でパジャマパーティをしましょう

大丈夫よ こわいものは……彼がなんとかしてくれるから……

間(五秒程度)

SE:カチャ(ドアを開ける)
SE:ピアノの演奏

おかえりなさい……ねえ 誰がいらっしゃったの?

……そう またあの藪医者ね

面会なんて結構よ 父の友人と言ってるけど

おかしなことばかり言って 私の言うことを夢を見てるんだというのだもの

私の見えてるモノはすべて本物でしょ

ねえ あなたはどう思うの

よかった……あなただけよ

私の味方はあなただけ……

どうか怖いモノから……私を守って……お願い

私は……もう嫌なモノを見たくないの

本当に……知りたくないの

ごめんね 皆……心配してくれるの?

大丈夫 私は大丈夫だから

またピアノ 聞かせてあげるね

SE:ピアノの音

シーン2

SE:足音

ねぇ 急にどうしたの? 別荘に行こうって

ああ……家の大掃除? また急な話ね

そうね……綺麗にすることはイイコト……

お父様とお母様の部屋は 私がきちんとしておいたから 誰にも触らせないでね

約束してよ

うん……よかった あなたなら分かってくれる

私のことを分かってくれるのはきっと……世界で……

あ……

SE:ぶつかる音
SE:救急車のサイレン

いえ ちょっとぼーとしただけ ごめんなさいね

とりあえず家に入ったらお茶会にしましょう

ここ ゴブリンの姿が見えるの

初めて見るから 一緒に楽しみたいのよ!

バーブ
<<そうだ……世界なんて 狂ってしまえば良い>>(沈むような口調で)

なーに お話を聞かせてくれるの

私 そこまで子供じゃないと思うけど

でもいいわ あなただから……いい

どんなお話を聞かせてくれるの?

SE:ページをめくる音

ふうん なるほどねぇ……

<<世話役の話は不思議な話だった 哀しいことがあった少女は 不幸が重なり 目も耳もきかなくなり 体すらも動けなくなった でもその子は幸せだったという 世話役はそれがどうしてなのかとまで聞いてきた>>

全然分からないわ 辛いと思ってしまうけど

あなたには分かるの?

わかるんだ すごいわね

その子はもう何も感じられなくなったから 幸せな頃の……思い出の世界に行ってしまったの?

なんだか ソレ……

SE:ノイズ(ガガッ……)

……ナンデモナイ(淡々と抑揚無く)

<<穏やかな生活 私に見えるお友達と語らう日々 いつも世話役の彼がいて……ずっとこんな日々が続けばいい>>

ねえねえ これも収穫するの! この大きな木の実!!

おいしいクッキーに変るのよね 楽しみ!

もうもう ゴブリン ひっぱらないでよー

焦らなくても大丈夫だから あはは

<<だけど……ソイツは 無遠慮にやってくる>>

シーン3

SE:ピンポン連打

やだな うるさい……誰か来たのかな

ここまで来るヤツなんて きっと碌でもないに決まってる

ねえ 追い返してきてお願いよ

ありがとう……一応誰か来ただけでも……

SE:ガチャ

誰! 無遠慮ね……どうやって中に……あ

啓介 そっか従兄弟だもんね鍵をもってても仕方ないか

そんな仰々しく挨拶しなくていいわ 私あなたに用はないの

ねえ 帰ってもらって

帰らないってどういうつもり……は? 私に説教? なんなのあなた

なによそれ……新聞記事……?

別に読み上げなくていいわよ! 帰って 帰ってよ!

早く啓介を追い出しなさい どうして動かないのあなた

私の味方じゃないの! ねえ!

あ……あ……

高速道路……巻き込み事故……足長俊太郎 涼子夫妻が死亡し……

SE:衝突音
SE:救急車のサイレン

はあ はあ……ウソだわ 侮辱よそんな記事

お父様とお母様は南の温かいところにちょっと出かけてるだけなの

私 私は……それを待って……

っ……誰がバカなの 啓介 従兄弟と言っても許されない言葉があるでしょ

あなたはいっつも意地悪 正しいことばかり言って……正しいこと……タダシイコト?

SE:キーン
回想

お母様もお父様もどうしてそのことを私に言わなかったの

今日のディナーは行きたくない

そんな気分になれないから!

SE:バタン(強くドアを閉める)

そうだ……私……私は 偶然……

お父様 お母様は……ううん そんなのウソだよ いつかは帰ってくるはず……

SE:救急車のサイレン

あ……ああぁ……(泣き崩れる)

SE:オルゴール

<<1年半前のことだ 父と母が亡くなったのは でも私の中ではそんな事実は なかった ないということに していた>>

SE:コンコン

……あなたなの

ホットミルク……飲みたくないよ……全然

何も飲みたくない 食べたくない……

お父様もお母様もいなくなっちゃった

あんなに遊んでいた 妖精達も ゴブリンですらも……

私はまた置いてかれたのかな

私だけ 置いていかないでよぉ

ああ……こんなに寂しい気持ちは……罰なのかな

知ってるの……知ってるんだよ

あの日 私が怒ったから……予約の時間に遅れそうになって……

お父様もお母様も普段使わない高速道路を使った

素直になって……一緒に出かけてれば

私が殺したようなものなのかも

イヤだ……そんなの……お父様 お母様どこなの! どこ!!

真莉愛をおいていかないで!!!

ねえ……ねえ……!

お願い お父様とお母様をつれてきて

あなただったら出来るでしょう

あなたは私の味方なんでしょう!

どうして……そんな 哀しい顔で……私を見るの……

お父様 お母様……どこ……ドコ……

シーン4

SE:カチャ(陶器の音)

優雅なモノね………紅茶を嗜む余裕があるのね

……私はあなたと話すことはない

帰って もう二度と顔を見せないで

……何よ

何なの……そんな怖い顔して

分かってないって何

私に嫌なモノを見せて……これ以上何をしようって言うの……!

帰って帰って! 私はお父様とお母様を待つの!

SE:足音(ドスドス)

何よ これ……

SE:チャリ(鎖の音)

ペンダント……警察から届けられたの? お父様 お母様の?

燃える車内で閉じ込められても 二人が 握りしめてた……

あ……私の写真……Dear Maria……

死にかけていても……コレを守ろうとしていたの?

私を愛し続けていたの……?

なによ いっぱしに私に説教なの……

知ってたわ……お父様とお母様は……誰よりも私を愛してる

知ってるから もういないなんて信じられないのよ……(※徐々かつ静かに感情高ぶらせてください↓)

空想に溺れていたいよ ずっと ずっと(※↓)

でも……ねぇ……このままじゃ……(※↓)

私がずっと目を背けてたら……(※↓)

二人はきっと 浮かばれないんだよね……(涙声)

SE:さざ波
SE:草の上を歩く

……綺麗な花ね……本当に

あなたの選んだモノだもの 綺麗に決まっている

お父様お母様も喜んでくれるかしら

喜んでくれるといいな

久しぶりに お墓に来るなんて 親不孝じゃない?

そっか……あなたは優しいね

……正直 夢で事故のことを思い出すの

実際に見ては無いけど 想像が頭にこびりついてるのよ

辛いなって思うけど……でも私はお父様とお母様に いっぱい愛されてた

きっと今だって愛されてる

ありがとう……お父様 お母様

あなたも見守ってくれて……ありがとう

どうかこれからも……一緒に いてね

約束