蒼のウィステリア

藤色雨とリシテアの台本や情報をまとめています。

【女性向け台本】魔法使いな店主と雨宿りで癒される

魔法の使えるお店の店主とシチュエーションボイス

店主……「白木」という小さな居酒屋を切り盛りしている、実は魔法を使えるのだが、それは聞き手である主人公だけが知る秘密。絵画にも詳しい

イントロダクション(あらすじ)

ある雨の日。自分の生活・精神幸福度高くないなと思っていたあなたは、知り合いの店主のいる店に向かう
店主の店は珍しく閑古鳥、雨がひどくて客が来なかったという
店主は実は魔法使いだったりして、君一人だけだからと、普段のもてなしから、愚痴聞き、絵画解説、魔法まで見せてくれる

台本の
、と。にあたる部分は全角スペースであけてます。 

シーン1 やあやあ いらっしゃいませ

SE:どしゃぶりの雨
SE:カウベル

はい……いらっしゃいませ……って 君か

こんな雨の日にお客なんて 珍しいとは思ったが……

まあ 君だとしたらこちらもうれしいよ

彼氏と喧嘩をして 逃げてきたのかい?

それは三ヶ月前だって そうだった……

どうも三日前だったんじゃないかと思ってしまう

失礼な ジジイじゃない オジサマだ

ああ……恥ずかしいなんて どっかに蹴飛ばしとけ

オジサマの方がモテるんだ それでいいだろ

とにかくそんなとこで突っ立ってないで こっち来い

なんで そんな離れた席で……カウンターに来い

そんな 客と店主ってだけの間柄じゃないだろ

数秒の間

SE:椅子を動かす

よく来たな……こんな土砂降りにまあ 出かけようと思ったもんだ

そんなに鬱々(うつうつ)してたのか

おいおい 邪険にするなよ

そのペンダント つけてきたのか……なるほどなぁ 汚れ知らずのハリネズミの石の効果 すごいだろ

濡れずにここまで来られるってもんだ

よく効くだろう 俺のマジックアイテム

はは……魔法使いのキャリアは長いからな 君の役に立ってうれしいよ

だけど 汚れないとか抜きにしても……こんな日に出かけるなんて 奇妙だな

なんかあったんだろ……いや なんも無くていいさ とりあえず話そうぜ

その前に注文だな! そうだよ いくら君だって 対価も払わず店にいられちゃこまる

何を頼まれますか お客様?

おすすめは……これ 夢鯨のソテー 

こいつ 夢の中を回遊するんだけど 脱皮もするんだよ その皮の裏側に脂たっぷりの肉が……

なんでマジックメニューって……上手いし 俺も食べたいんだ

一人で食べるつもりだったが 二人で食べるのも悪くない

もし客が来たら……?  ソレは安心しろ

もう今日は店じまい どうせこの雨じゃ人は来ないよ

なら 楽しい時間を過ごした方が 幸せってもんだ

SE カウベル
SE どしゃぶりの音

シーン2 何がそんなに嫌なんだい?

SE:雨音(遠のきながら)
SE:シャンパングラスを合わせる音
BGM:ジャズピアノ(雨音と入れ替わり)

いやー 音楽はいいねぇ……殺風景な店も華やかにするってもんだ

SE:ゴクゴク(品の良いの)

どうした そんな固まって せっかくのソテーだぞ 冷めるぞ

お やっぱそうか うまいだろ……俺も大好物なんだよソレ

結構肉厚だし 歯ごたえも嫌な感じじゃない

だがいかんせん素性を人にほとんどあかしてないってこともあって

独りで楽しむグルメなんだよなぁ ははは(あっははって感じに笑い飛ばす)

そこで一般人アピールはいいから

魔法使いの魔法を目撃して 魔法使いと食事を共になんかしちまったら

お前は十分関係者だよ 俺の

一般人じゃないんだなーこれが

なんだよ 素直にどうしよみたいな顔するんじゃないよ

俺のトクベツって言えばいいのか? まあ間違っちゃないが

くくっ……ちょっと意識しただろ 耳たぶ赤いぜ

さて俺も食べるか夢鯨 あ んん んく(ソテー食べてます)

SE:カチャカチャ(ナイフとフォークが皿に当たる音)
BGM ジャズピアノ(ゆっくりフェードアウト)
SE:ページをめくる音

何を読んでるって? ああ カタログだよ……今度店に飾る用のな

そうだな 絵は好きだよ

小説が他人の人生を疑似体験させてくれるものであると言うならば……絵画はいろんな世界の姿を見せてくれる

俺にとって世界は陽気なものだし 陽気であってほしい

だけど人によっては 世界は灰色で 先の見えない不安がもやになって 覆ってるのかもしれないな

なんだよ……黙り込んで 珍しいな

あ? なんもなくて困ってるって……なんだ暇なのか

あー分かってました こういうとキーキーって感じになるんだよな君

ハリネズミが威嚇してるみたいだ 

間違っちゃねーだろ まちがっちゃ

君が今の状況に憂いを覚えてるとしたらあれだ 状況が何も変らず何も無いことじゃない

もっと君の内側だ

君の世界は 今何色に見えてるんだ?

世界は空っぽなわけじゃ無いんだ 空っぽだとしたらそれは……

シーン3 こんな話があるんだ

SE:時計の音
SE:どしゃぶりの雨(小さく)

周りが進んでいるのに……自分だけその場にいるような感じか

(ため息)なるほどねぇ……そりゃどしゃぶりの雨を見たら 憂鬱が悪化しそうだ

世界の色が分からないんだとしたら 人の世界の色を見て 考えても良いかもな

それが現状に即した色であれ そうでなかったであれ 君の心の糧になるかもしれない

おすすめかー 俺は陽気な世界をみたい魔法使いだぜ それでもいいなら紹介するけどよ

とりあえず そうだな……お いい絵 あるじゃん……

SE:ページをめくる音

じゃーん これいいだろ 舟遊びをする人々の昼食 印象派の画家ルノワールの大作だ

なんだよ 渋い顔して……は? リア充の香りがする? 絵から

まあ 後の自分の嫁さんやら友人やらが登場してるから……リア充と言っても過言じゃ無いかもな

ルノワールは死ぬまで絵を描くことをやめなかった画家でなぁ……その世界は幸福の色彩で彩られていたと 俺は思う

人生が充実してるのはちょっと……みたいな顔するなよ 実際にルノワールの世界は幸福に彩られていたわけじゃないぞ

確かに画家としては生前から大成はしていたが 自身も従軍するし 息子も従軍するし……あげくリウマチで手足は麻痺していた 絵を描くのだって 地獄のような苦しみだったはずだ

それでも彼は 世の中は不愉快だから 芸術や絵画では幸福な世界を追求する そういう画家だったんだ

ままならない世界を感じとりながらも 幸せで反抗する画家は 正直 ルノワールの他に知らないな俺は

今の話を聞くと この絵の見方も変わるんじゃ無いか?

ルノワールの祈りを感じ取れるかもしれない

世界は不愉快で 皮肉も大きく うまくいかないことばかり

だけど どんな痛みでも苦しみの中でも 光はある

俺はそう思うよ……

おいおい 熱心に語って何が悪い

オジサマの話はよーく聞くもんだ

とりあえず世界の色 一つ 知れただろ?

そりゃ よかった そう言ってもらえると教えた甲斐があるもんだ

心の糧は世界中探せばどこにだってある

いいものを集めてみるのも また手だぜ

シーン4  魔法の時間

SE:雨

雨 多分もうすぐあがるぞ

いやー勘だ 俺の勘がそう言っている

俺の勘はあたるぞ 信じてくれよ

雨が上がったら何をするんだ?

俺は買い出しかな タマネギちょっと少なかったんだ

君は……うんうん 洗濯しないとな

雨で ろくに乾かなかっただろうしな

まだ雨は止まなくて ちょっと店 暗いな

明かりはつけてるんだけど 不思議だ

こう暗いと 気分まで湿気っちまうな

ああ……そうだ うんうん

俺 君に 見せたいものがあるんだ

変なモノじゃねーよ

ただちょっと世界が素敵に見える そういうもんさ

(囁き)目を瞑って……そしてゆっくり開けるんだ

SE:線香花火

……ちょっとびっくりするだろ

その顔 見たかった

ああ そうだ……線香花火みたいな光を いくつもいくつも浮かべてみた

打ち上げ花火よりド派手じゃないが これもこれでおつだろ

ちょっと薄暗いから……色も映えるし

こんな雨の日ほど、人生は灰色じゃないかと思うかも知れないけど

世界が暗い日は その分 色彩は鮮やかになる

結構 きれいだろ はは

……やっと 目がキラキラしてきたな

君がもし 自分の世界の色を見つけてきたなら 教えてくれよ

俺は ちゃんと待ってやるから

なんでってそりゃ……

……よく考えてこい 俺からの宿題

ヒントは教えないし 答えなんてもってのほか

俺の考えてること 俺自身のこと よく考えるとわかるかもな ハハッ

そこ ケチとかいわない

SE:雨の音(フェードアウト)

ん……ああ 雨

あがったぞ 虹が出て きれいだな

さて うごきだそうか……お互いにな