【女性向け】神様に優しく癒やされて、連れて行ってもらうシチュエーションボイス
「神社を舞台に」夏の日、神様とあなたと神隠し「シチュエーションボイス」
神様:落ち着きと明るさを兼ね備えた神様。元々人好きだが、何年も神社は放置されたために、人と接触する機会が少なくなった。女性(聞き手)の幼い頃にあっており、その孤独感に共鳴していた。
女性:人間関係が昔から上手くいかず、孤独感に悩まされており、自分の祖父母のいる田舎へ遊びに来た。散歩途中で、神社の存在に気がつき、賽銭を投げる
SE:田圃のあぜ道
SE:足音
SE:賽銭を投げる音
ほお、こんな朽ちた神社に、賽銭をなげるとは、希少な者もいるのだな
ん? 私の声が聞こえるとは……んん、そなたの姿どこかで見たような……
ああ! あの時の童(わらべ)か! 大きくなったものだ
ははははは、まったくなにもわからないって顔だな
そなたはもう随分と昔に……私と会っているのだよ
SE:風が流れる
SE:蝉
(8秒)
まったく、やっと落ち着いたか……まあ、それでもちゃんと思い出せたのはよかった
神様と呼ばれるのは、いつぶりかと思うが……
そうだ、この神社はもう廃棄されてしばらく経つのだよ
かつてそなたと会えた時点で、私の神社は人に忘れかけられていたからな
寂しいか……その感情は一番先に麻痺してしまったよ
ふふ、そんな顔をするな
少し話をしないか、そなたの話を聞きたいんだ……
ん?
SE:今にも雨が降りそうな雷
SE:雨
いけない、濡れてしまうぞ こっちへ
SE:足音(泥)
ああ、濡れてしまって……そんなしょんぼりするな
こんな私でも力はあってな……そら
SE:神楽鈴
これで服も体も大丈夫だろう
嬉しそうにして……本当に素直な性格だ
SE:雨(低めで継続してます)
SE:軋む音(座る音)
夏のここらは、唐突に雨が降る
廃屋の神社といえど、雨宿りくらいは出来るだろう
……しかし、成長したな本当に
あの頃はまだ小さくて……
はは、そなたの祖父と同じことをいってるか
私はそなたの祖父よりは、年は重ねているから……こんなことを言ってもおかしくはないだろうに
姿が、というのはずるいだろう……私を人間と一緒にするな
いつのまに、そなただって……
目元にしわをよせるな……もったいないぞ本当に
成長することはいいことだ……時間の経過は人間の特権だ
私の中には時間というものが、ない
いつのまにか存在して、永遠に終われない
だから有限を生きる人がうらやましくもある
人間をうらやましがる神は変か?
まあ、なかなか理解がむずかしいかもしれない
いわゆる、隣の芝生は青いってだけかもだが
SE:雨
……少し雨の空気に冷えたか
茶でもいれよう
SE:かちゃかちゃ(陶器のぶつかる音)
SE:急須(開閉)
SE:湯を注ぐ
そなたにとって大昔の、黄泉の国の話だが……
黄泉の国の食べ物を食べると、黄泉の世界の住人になって
もう二度と、そこから抜け出せなくなるという
また他のところでは、神の国に入るための酒があり
人間がそれを飲むと……神となって、人間の世界から離れるという
神の領域に触れると、往々にして、そんなことがある
はは、怖がるでない、この茶はただの茶だ
夏なのに……こんなに冷えては、あまりにかわいそうだからな
さあ、一息ついてくれ
(お茶を飲んで)ん……んん……ふむ……まあ、悪くないな
そなた、ここでいきなり自画自賛をしたら、なんとも奇妙でしょうがないだろう
苦笑いしかでなくなる
そなたの世界のなんというか、冗談はむずかしい……
そうだな、真面目かもしれない
故に、見離せない人間も、出てくる
普通の神ならば、歯牙にもかけないかもしれないのにな
そなたもそうだった……私の中で何人かおる、見離せない人間
まあ私のことを見えているのは驚きだが、そのことはあまり含めてないのだ
魂が、七色なのだ……そなたは
七色の魂を持つ人間は、そうだな……とても儚い人生を送りがちでな
以前のそれを持っていた者は、幼くして……ということもある
だから私はそなたを見かける度に、どうか……と安寧を願っていた
気になる者が不幸になってはかなわんだろ
そういえば……こんな雨の日だったな、そなたと出会ったのは……
SE:雨(勢いを強める)
(時間軸的に聞き手の幼い頃になってます)
BGM:回想をイメージしたピアノ基調のもの
どうした……こんなところで、迷子になったのか
私の、姿が見えるのか……私はこの神社に祀られているものだよ
そうだな、わかりやすくいうならば……神と呼ばれている
雨が早くあがれば……親元に帰れるだろう
どうした……そうか……あまり帰りたくないのか
事情があることは、顔を見ればわかるよ
SE:頭を撫でる
茶でもいれてやろう、久しぶりに供えられた菓子もある……
雨が上がるまで、私はずっといっしょにいよう
BGMストップ
SE:雨
もう何年も前の話……と思っているのだろう
私にはほんの一瞬前の記憶のように感じる
あんなに泣きそうだったそなたのことを、忘れるわけがなかろう
また会えてうれしい
SE:頭をなでる
あの頃と……随分とちがってしまっているが……魂の輝きは、何一つ変わってない
そなたは本当に美しい
ほめているのに、そんな苦しそうな顔をして
辛いことでも言ってしまったのか私は
そうか……雨があがればまた……ふむ……そうだな
人と神が関わり合うことは、いつだって歪みや悲劇を生むと言われる
そなたの孤独は、あれからずっと癒えないのか……
SE:布ずれ
そうだな……何もない人生があるわけじゃないな
そなたは孤独が多すぎたのかもしれん
SE:雨(最低音量)
(囁き(右)ほんとうにそなたは、私といたいのか
(囁き(右)本当に、それでいいのか?
……そうか
いや、とめはしない……孤独を埋めたくなる気持ちは……私もわかるからだ
でなければ、一番真っ先に……孤独感を麻痺させないだろう?
SE:雨(フェードアウト)
SE:蝉の声
SE:布ずれ
これを飲むといい……
人には戻れないが……私と一緒にはいられるだろう
こんなものを差し出して、無責任な話だが
私はそなたと一緒にいられて……嬉しいのだ
眠くなってきたか……そうだ、副作用といえばいいのか
ゆっくりやすみなさい……大丈夫だ、目覚めたとき
(囁き(右)私はお前の側にいる……